【元日本代表に学ぶ】水泳と生理が重なったら?安心して泳ぐためのリアルな対策

【元日本代表に学ぶ】水泳と生理が重なったら?安心して泳ぐためのリアルな対策

「大事な試合や練習と生理が重なってしまいそう…」
「プールに入っても大丈夫なのかな?」

水泳に打ち込む選手にとって、月に一度やってくる生理は、大きな悩みの一つですよね。
特に、デリケートな問題なだけに、なかなか周りに相談できず、一人で不安を抱えていませんか?

しかし、心配はいりません。世界の第一線で活躍したトップスイマーたちも、あなたと同じように生理と向き合い、試行錯誤を重ねながら素晴らしいパフォーマンスを発揮してきました。

この記事では、元オリンピック日本代表の伊藤華英さんや、パラ水泳日本代表コーチの竹村幸さんのリアルな体験談を基に、専門的な知見も交えながら、あなたが安心して水泳に取り組むためのヒントを詳しく解説します。正しい知識を身につけて、生理期間も前向きに乗り越えていきましょう。

「生理中にプールに入っても大丈夫?」多くの人が抱える疑問の答え

まず、多くの人が抱く「生理中にプールに入っても衛生的に大丈夫?」という疑問にお答えします。

結論から言うと、適切な対策をすれば全く問題ありません
水中では水圧がかかるため、経血が体外に流れ出しにくくなります。しかし、竹村幸さんは「プールからあがった瞬間にバッと出ちゃう」と語っています。その通り、完全に経血が止まるわけではありません。

そこで重要になるのが、タンポンや月経カップといった体内で使用できる生理用品です。
これらは体内で経血を吸収・キャッチするため、プールや他の利用者に迷惑をかける心配なく、衛生的に水泳を楽しむことができます。ナプキンは水を吸ってしまい機能しないため、プールでの使用は避けましょう。

元日本代表選手たちのリアルな生理との向き合い方

常に高いパフォーマンスを求められるトップスイマーたちは、どのように生理と向き合ってきたのでしょうか。彼女たちのリアルな声から、具体的な工夫を学んでいきましょう。

伊藤華英さん:不調の原因に気づき、自分に合う方法を見つける大切さ

北京、ロンドンと2度のオリンピックに出場した伊藤華英さん。
彼女の経験は、自分の体と向き合うことの重要性を教えてくれます。

19歳の時、アテネ五輪の選考会で、彼女は極度のプレッシャーと生理前の不調(PMS)が重なり、実力を発揮できずに代表の座を逃しました。当時は、その不調の理由が生理にあるとは気づいていなかったそうです。

その経験から、北京五輪ではピルによる月経コントロールを試みます。しかし、「体に膜が張っているみたい」と感じるほど体に合わず、体重も増加。結果は8位に終わりました。

伊藤さんはこの経験を「後悔はピルを使ったことではなく、しっかりした知識もなく、自分の生理周期とコンディションをちゃんと理解しないまま使ってしまったことです」と振り返ります。彼女はその後、ピルをやめ、「波があっても調子の良さを感じられたほうが幸せ」と気づき、自分に合ったコンディショニング方法を見つけていきました。

竹村幸さん:壮絶な経験から見つけた「自分を知り、コントロールする」強さ

パラ水泳のコーチを務める竹村幸さんの現役時代は、生理との壮絶な闘いの連続でした。

高校時代には、試合直後に生理痛で失神。経血量が非常に多く、タンポンを使っても「気休め」で、プールサイドに経血が垂れてしまうことも日常茶飯事だったと語ります。

さらに20代中盤からはPMSによる精神的な落ち込みに苦しみ、「すべてを諦めたくなるほど追い詰められた」末に婦人科を受診。ホルモン剤によってようやく解放された経験を持っています。

そんな彼女ですが、「たとえ試合で結果が出なくても、それを『生理のせい』と思ったことはありません」と断言します。「スポーツって、自分を知ることで強くなるもの。生理も自分の体のことなので、どうコントロールするかをふくめ実力です」という言葉は、すべての女性アスリートの心に響くのではないでしょうか。

すべてのアスリートに知ってほしい「自分の体を知る」重要性

伊藤さんや竹村さんの経験に共通するのは「自分の体の状態を正確に把握しようと努めてきた」ということです。特に、10代のような成長期のアスリートにとって、これは非常に重要な意味を持ちます。

一般的に、日本人の初経の平均年齢は12歳前後と言われており、初経がきてから2〜3年は月経周期が安定しないことが多いです。この時期は、予期せぬタイミングで生理が来たり、月によって体調の変化が大きかったりと、戸惑うことも多いかもしれません。

だからこそ、すべての女性アスリートに伝えたいことがあります。それは、「面倒くさがらずに、自分の月経周期を記録してほしい」ということです。
記録を続けることで、単に次の生理がいつ来るかわかるだけではありません。

・自分のコンディションの波がわかる(例:生理前は体が重い、生理3日目は調子が良いなど)
・パフォーマンスの良し悪しと周期の関係が見えてくる
・周期の乱れなど、体の異常に早く気づける

自分の体と長く付き合いながら競技生活を続けていく上で、月経周期のチェックは、最高のパフォーマンスを発揮するための「最も基本的なコンディショニング」と言えるのです。

【明日からできる】生理中に水泳を乗り切るための具体的アクション

自分の体を知る重要性を理解した上で、具体的な対策を見ていきましょう。

① 進化する生理用品を試してみる

タンポン: 最も一般的な選択肢。ただし、竹村さんの言うように、経血量が多い場合は漏れる可能性も。こまめな交換を心がけましょう。

月経カップ: 竹村さんもアメリカ合宿で使い始め、経血モレが改善したというアイテム。慣れは必要ですが、長時間使え、繰り返し使えるため経済的です。

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② 体の「冷え」を徹底的に防ぐ

コーチとして長時間プールサイドにいた竹村さんも「必死で冷え対策をしていた」と語るように、冷えは生理痛の大敵です。プールから上がったらすぐに温かいシャワーを浴び、乾いたタオルで体を拭きましょう。

この後、濡れた水着のまま過ごさず、すぐに着替えることが大切です。遠赤外線の腹巻きなども有効です。

③ チームワークで乗り越える

「タンポンのひもが出ていたら、ほかの女の子たちがさっと後ろに立って教えてあげる」

竹村さんのエピソードのように、女子選手同士で助け合う文化は、大きな心の支えになります。一人で抱え込まず、信頼できる仲間にサインを送ることも大切です。

④ 「無理しない勇気」と「相談する勇気」を持つ

何よりも大切なのが、無理をしないことです。腹痛や倦怠感がひどいときは、決して我慢しないでください。

練習を休む、またはコーチに相談して練習メニューを調整してもらう勇気を持ちましょう。その際、「どうすれば練習を続けられるか」を一緒に話し合いたい、という姿勢で相談することが、より良い関係に繋がります。

正しい知識が、あなたを強くする

生理は、女性にとって当たり前で自然な体の営みです。伊藤さんや竹村さんのように、トップアスリートでさえ、壮絶な経験をしながら生理と向き合い、自分なりの対処法を見つけ出してきました。

大切なのは、生理を「タブー」や「ネガティブなもの」と捉えるのではなく、「自分を知り、コントロールすべき実力の一部」と捉え、適切に対処していくことです。

一人で悩まず、保護者や信頼できるコーチ、チームメイトに相談してみてください。そして、必要であれば婦人科を受診することも、選択肢の一つとして考えてみましょう。

正しい知識と対策は、あなたの不安を取り除き、水泳のパフォーマンスをさらに向上させるための力強い味方になります。これからも自信を持って、大好きな水泳を続けていってください。

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