【選手コース向け】スタートで差がつく!「グラブ」と「スイング」のコツ

【選手コース向け】スタートで差がつく!「グラブ」と「スイング」のコツ

「Take your marks...」

プールサイドに響く合図。これが聞こえると会場中が静まり返り、一気に集中力が高まることがわかります。ドキドキする気持ちと一緒に、もうレースは始まっている。

コンマ1秒、いえ、もっと短い時間で勝負が決まる競泳の世界では、スタートは単なる「始まり」じゃない。レース全体の結果を左右する、とっても大切な技術なんです。

「スタートだけが、どうしても苦手で…」
「どうすれば、もっと速く、きれいに飛び込めるんだろう?」

そんな悩みを抱えるあなたにこそ、この記事を届けたいな、と思います。

今回は、競泳の代表的なスタートである「グラブスタート」「スイングスタート」について、その違いから使い分け、そして明日からの練習ですぐに活かせるコツまで、一つひとつ丁寧に解説していきますね。

この記事を読み終える頃には、あなたのスタートへの不安が「やってみたい!」というワクワクに変わっているはず。さあ、ライバルに差をつけるための、最初の一歩を一緒に踏み出しましょう。

■そもそも、良いスタートって何だろう?3つの大切なこと

「良いスタート」って、一体どんなスタートのことだと思いますか?
それは、次の3つのポイントを、どれだけ高いレベルでクリアできるかにかかっています。

いかに速く飛び出すか(反応の速さ)

ー合図を聞いてから、体が動き出すまでの時間のこと。この時間を、できるだけゼロに近づけるのが目標です。

いかに遠くに飛ぶか(飛距離)

ースタート台から、どれだけ遠くの地点に着水できるか。遠くに飛べれば、その分だけ泳ぐ距離が短くなって、ちょっぴりお得ですよね。

いかにスムーズに浮き上がるか(入水後のうまさ)

ー水に入った後、水の抵抗をできるだけ受けない「ストリームライン」という姿勢を組んで、スピードを落とさずにスッと浮き上がってくる技術のことです。

実はこの3つ、全部を一度に完璧にするのは、難しいと思います。例えば、「遠くに飛ぼう!」と思うと、溜めが大きくなってしまって、「反応」が少し遅れてしまうことがあります。

この「何を一番大切にするか」という考え方の違いから生まれたのが、今回紹介する「グラブスタート」と「スイングスタート」なんですよ。

■【個人種目の最速なら】グラブスタート

まずは、今の個人種目で、ほとんどのトップ選手が使っている「グラブスタート」から見ていきましょう。

グラブスタートって、どんなスタート?

スタート台の前の部分を両手でしっかりと掴んで、構えた姿勢から、合図と同時にパッと飛び出すスタート方法です。一番の特徴は、合図への反応の速さを、とにかく一番に考えているところにあります。

メリットとデメリット

メリット: 腕を振る準備運動がないから、合図を聞いてから飛び出すまでの時間がすごく速いんです。

デメリット: 腕の反動が使えない分、次に紹介するスイングスタートと比べると、飛距離は少し短くなることがあります。

なぜ、みんなこのスタートなの?

「飛距離が短くなるなら、不利じゃない?」って思いますよね。でも、競泳のルールでは、ピストルの音が鳴る前に体が動くだけで、フライングで失格になってしまいます。

だから、確実に静止した状態からスタートする個人種目では、失格にならないギリギリの範囲で、反応の速さを0.01秒でも縮めることが、すごく大切なんです。そのメリットが、飛距離のデメリットよりも大きいから、グラブスタートが今の主流になっているんですね。

【ここが大事!】グラブスタート成功への3つのコツ

構え:体重を前に前ににかける

「Take your marks..」の合図で構えたら、前にかけ続けることを意識してみて。スタート台の前の部分を両手で握り、足の指でスタート台の縁をキュッと掴みます。このとき、膝を曲げすぎないのがポイント

膝が深く曲がると、体重が後ろ(かかと)に乗ってしまって、前に進むパワーが逃げてしまうんです。まるで、今にも前に落ちちゃいそうなくらい、ギリギリまで体重を前にかけてみましょう。

飛び出し:一瞬だけ前を見て、すぐにストリームライ

合図と同時に、両足でスタート台を力強く蹴ります。このとき、跳ぶ瞬間に一瞬だけ顔を前に向けて、姿勢をまっすぐにしたら、すぐにアゴを引いて頭を腕の間に隠します。この一連の動作を素早く行うことで、水の抵抗が少ないきれいな「ストリームライン」の姿勢が作れて、水に入った後もスピードが落ちにくくなりますよ。

体づくり:カギは「太ももの裏」のやわらかさ

グラブスタートは、全身のバネを使って飛び出す技術。特に、爆発的なパワーを生み出す太ももの裏の柔軟性が、とっても大切なんです。もしここが硬いと、構えたときに腰が丸まってしまって、足で生み出した力がうまく体に伝わらない。日々のストレッチなどで、毎日少しずつ、しなやかな体を作っていきましょうね。

■【リレーで輝く躍動感】スイングスタート

次に、リレー種目のかっこいい引き継ぎでよく見かける「スイングスタート」です。

スイングスタートって、どんなスタート?

スタート台の上で腕を大きく前後に振って(swing)、その勢い(遠心力)を使って、できるだけ遠くに飛ぶことを目的としたスタート方法です。

メリットとデメリット

メリット: 腕を振った勢いを使えるから、グラブスタートよりも遠くに飛ぶことができます。

デメリット: 腕を振る時間が必要なので、構えてから飛び出すまでには、少し時間がかかります。

なぜ、リレーで使うの?

個人種目と違って、リレーの引き継ぎは、前の泳者が壁にタッチする前に、自分の足がスタート台から離れなければOKというルールがあります。つまり、審判の合図ではなく、自分のタイミングでスタートできるんです。

この「少しだけフライングっぽい動きが許された状況」を上手に使って、腕を振る時間をしっかり確保できるから、最大のメリットである「飛距離」を活かせるスイングスタートが、リレーでは大活躍するんですね。

【ここが大事!】スイングスタート成功への2つのコツ

タイミング:前の選手の「最後のひと掻き」を見逃さないで

スイングスタートで一番大切なのが、腕を振り始めるタイミング。理想は、前の選手が壁にタッチした瞬間に、自分の足がスタート台から離れること。そのための目安として、「前の泳者の頭が、プールの底にあるT字の線を通過したとき」や、「最後のストロークに入ったとき」に、腕を振り始めてみましょう。チームメイトと呼吸を合わせて、最高のタイミングを見つけてくださいね。

腕の角度:「斜め下45度」に、腕を伸ばすイメージ

腕を後ろから前に振り下ろして、その勢いで飛び出します。ここで気をつけてほしいのが、腕を振り上げる角度です。腕を水平(頭と同じ高さ)まで高く上げてしまうと、体が反ってしまって、入水するときの角度が深くなり、水の抵抗をたくさん受けてしまいます。

おすすめは、両腕を「斜め下45度」の角度になった瞬間に前に飛ぶイメージ。低い弾道で、水面にスッと入っていくように飛び込むことを意識してみてください。

■まとめ:あなたに合ったスタートを見つけて、もっと水泳を楽しもう!

今日はお疲れ様でした。最後に、2つのスタートをもう一度おさらいしましょう。

グラブスタート: 「反応の速さ」が命。個人種目で0.01秒でも速く飛び出すための技術。
スイングスタート: 「飛距離」が魅力。リレーでチームの勝利に貢献するための技術。

どちらのスタートにも、速くなるための理由とコツがあります。そして何より、スタートは、練習すれば必ず上手になる技術です。

今日の練習から、一つでもいいので、この記事で読んだことを試してみてください。構えるときの体重のかけ方、飛び出すときの目線、腕を伸ばす角度。その小さな積み重ねが、やがてあなたの、最高の武器になります。

スタート台に立ったあなたが、誰よりも速く遠くへ飛び込めるようになることを、心から応援しています!

💬あわせて読みたい

👉 なぜ速いスイマーは水面を滑るように泳げるのか?科学で解き明かす『浮く』技術の秘密
👉 水泳用サニタリーショーツの商品ページはこちら

ブログに戻る